Powerpointで、自分の好きなフォントでスライドを作りたいと思い、埋め込み機能を試していました。Windows8.1から標準搭載されている游ゴシックでも十分綺麗なんですが、Noto Sans(とその派生系)の味も好きなので。
フォントをまるごと埋め込むと、ひとつの日本語フォントはだいたい2-3MBなので、font-weightが異なるものを使うと少なくとも5MB程度のファイルサイズ増になります。
うまいことやらないとフォントが何種類も埋め込まれて、直ぐに数十MBまで膨れ上がるので、いま私が分かっている対処法をメモしておきます。
目次
要約
フォントを埋め込みつつ、ファイルサイズを極力抑えたい場合は、以下のうちどれかを利用しましょう。
- 「使用されている文字だけを埋め込む」設定にする
- 「すべての文字を埋め込む」かつ、フォント置換を活用する
- 「すべての文字を埋め込む」かつ、スライドマスターを活用する
1が最も簡単で、3が最も応用の利く方法です。
フォント埋め込み設定の違い
PowerPointでフォントを埋め込む方法は2つあります。
- 「使用されている文字だけを埋め込む」(ほぼ編集不可・ファイルサイズ小さい)
- 「すべての文字を埋め込む」(編集自由・ファイルサイズ肥大化への対処が必要)
手っ取り早いのは、「使用されている文字だけを埋め込む」事です。フォントの互換性を維持したままファイルサイズを最も小さくできます。その代わり、中身の編集は殆ど出来ないと思った方が良いです。
中身の編集を自由にしたい場合は、基本的に「すべての文字を埋め込む」にする必要があります。
解決策1:「使用されている文字だけを埋め込む」設定
こっちは簡単。自由にフォントを使ってスライドを作成して、「オプション」→「保存」→「次のプレゼンテーションを共有する時に再現性を保つ」の項を変えるだけ。
メリットは、「すべての文字を埋め込む」よりも比較的ファイルサイズが小さく済むことです。あれこれ工夫しなくても、他の人のPCで同じように表示される事が期待されます。
デメリットは、使っているフォントがインストールされていないPCでは編集が殆どできないこと。
解決策2:「すべての文字を埋め込む」
前項と同じ要領で、トグルを変えるだけ。
便利に綺麗に使いたいなら、2-3種類くらいのフォントを埋め込んでスライドを構成したい。
不要なフォントを埋め込まないように、工夫する必要があります。
フォントを埋め込むだけでファイルサイズが十数MB増える原因
これは、5種類以上の日本語フォントが使用されているとパワポが判定しているためです。だいたいは、以下のパターンのうちどれか複数に該当していると思います。
- 図形に本文と異なるフォントが設定されている(游ゴシックとか)
- コピペした際に他のフォントが紛れ込んだ
- Wingdingsなど絵文字用フォントが使用されている
- 意識的に使い分けているフォントが5種類以上ある
特に、図形フォント問題はかなり手強いです。まずは、使用されているフォントの種類を確認してみましょう。
使用されているフォントの種類を確認しよう
パワポファイルに使用されているフォントは「検索と置換」機能で探すことが出来ます。PowerPoint 2016および2019で利用可能な事を確認しています。
まず、レイアウトを「標準」または「スライド一覧」にして、スライドをCtrl+Aで全選択してください。
次に、[ホーム]タブの一番右にある「置換」→「フォントの置換」を選択してください。
「置換前のフォント」のプルダウンを見ると、スライド内で使われているフォントが一覧できます。
これで、フォントが何種類使われているかが分かりました。
フォントの種類を減らす策は、3パターンあります。
フォント数削減戦略A:手作業で探し当てる
オブジェクトを一つずつクリックしてフォント名を確認し、不要なフォントを変更します。
地味で時間がかかりますが、一つずつ確認して変えていく事で、デザイン全体の破綻を来さずに修正する事が可能です。
ちゃんと潰し切れば、前述の「フォントを置換」でリストから消えてくれます。
フォント削減戦略B:「フォントを置換」する
折角「フォントを置換」機能があるのですから、これを使うのも手っ取り早いですね。
「置換前のフォント」から削りたいフォントを選択し、「置換後のフォント」に置き換えます。
注意点として、置換後のフォントで表示できない文字が存在すると、文字が汚くなったりレイアウトが崩れたりする原因になります。フォントの置換はスライド全体で一括して行うのではなく、スライド毎に実施する事をお勧めします。
フォント削減戦略C:一からスライドマスター
フォント置換は便利ですが、何かしら編集を加えると余計なフォントが混入する可能性が高いです。
その理由は「図形の既定フォント」が游ゴシックなどのままになっている事が多いようです。
これを根本的に解決してしまうためには、スライドマスター機能の協力が必要不可欠です。
以下に、具体的なフローの例をお示しします。最初は大変ですが、フォント埋め込みを頻繁に使用したい人はスライドマスターマスターになる事を強くお勧めします。
C-1:まっさらのテンプレートから作る
もらったテンプレートとか、webで拾ったフリーのテンプレートは、色んな所に図形の既定やらなんやらの設定がされているので、フォントの統一が非常に困難です。スライドマスターを使っても統一しきれない事がよくあるので、「新規」→「新しいプレゼンテーション」から作った方が労力が少なく済みます。
C-2:スライドマスターを利用する
フォント・デザイン統一に必須の機能です。
「表示」タブ→「スライドマスター」で利用できます。詳しい使い方はページ下部の参考サイトを参照して下さい。
まっさらのテンプレートを作って、スライドマスターの「フォント」→「フォントのカスタマイズ」で全体のフォントを決めて、「全体のスライドマスターに適用」すればOK。
あとは、スライドマスターを中心とした使い方を心がけていれば、気が変わって全体のフォントを変えたくなったときにも柔軟に対応できます。
C-3:配布資料マスター、ノートマスターにもフォントを反映する
まっさらテンプレから作って、スライドマスターでフォントを統一したはずなのに、なぜかArialとか游ゴシックも埋め込まれてファイルサイズが大きくなる事があります。
この場合、配布資料やノートのフォントが変更されていない可能性があります。
スライドマスターと同じ要領で配布資料マスターやノートマスターを開いて、「フォント」→自分のフォントセットを右クリック→「〇〇マスターに適用」すればOK。
これでも改善しない場合、セットしたフォントに搭載されていない文字(Wingdingsとか絵文字とか)を使っているかも知れません。
良くあるピットフォール・tips
- 顔文字 :) を入力すると自動で顔文字に変換されてしまうが、これによりWingdingsが必要になる。
- 現在パワーポイントで必要なフォントは、PDFとしてエクスポートしたのち(Microsoft Print to PDFではなく、エクスポート)、Adobe Acrobat Readerで開いて「文書のプロパティ」→「フォント」タブを参照する事でも確認出来る。
参考にしたサイト
変更履歴
2020/05/30 「フォント置換」などの内容を追記しました。