ネットの英語医学文献を読んでまとめるのに役立つFirefoxアドオン (2020年5月)

Firefoxのアドオン仕様が変わって、レガシーなものが使えなくなってしばらく経ちます。便利だったアドオンが使えなくなって不便な思いをしましたが、やっと慣れてきました。

ここでは、現在最新のFirefox安定版 (76.0.1) で使用可能なアドオンのうち医学文献をまとめる際に有用なアドオン、また英語文献の場合は読む時に便利なアドオン、そしてお勧めの設定を紹介しようと思います。

目次

紹介するアドオンでできるようになること

  • 読んでいる論文の引用情報 (“Foobar et al. Fizz Buzz. (2020)”) をすぐにコピペできる
  • 読んでいる論文のJournal Rankがすぐに分かる
  • 読んでいる論文のフリーアクセス版があるかすぐに分かる
  • Firefoxでも英語文献をGoogle翻訳できるようになる

文献情報まとめに便利なアドオン

Lazy Scholar

https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/lazy-scholar/

Pubmedや論文のページで、関連する情報をページ上部に一括表示してくれるアドオンです。非常に多くの機能があり、これ一つで以下のことが全部できます。

  • SNIP (Scopus製IF), Citescore (Elsevier製IF), Altmetric が分かる
  • 引用情報(APA, DOI, PubMed IDなど)を1-2クリックでコピペ
  • フルテキストの有無確認
  • PubMedの”Related Citation”にジャンプ
  • PubPeerのコメント数が分かる・ジャンプ
  • EndnoteやMendeley、Twitterなどへのワンクリックリンク
  • Clinicaltrials.govに登録されているかどうか確認
  • ほか、多数(アドオンページで一覧できます)
Lazy Scholarの使用イメージ
画面の上部に統合情報バーが出現します(設定でサイドバーにもできます)

オールインワンなアドオンで、「アドオンをあれこれ入れたくない」という人におすすめです。論文ページを開くたびに上部バーが出てきてあれこれ読み込みされるのが嫌な人は、オプションで以下の設定をしておきましょう。自分が欲しい時だけ、右上のアイコンをクリックして有効化することが出来ます。

"General Settings" → "Autoload" を "No (use manually)"

また、Lazy Scholarにしかない機能として、PubMedの検索ページにCiteScore(エルゼビア版 Impact Factor)を表示する事ができます。オプションで以下の設定をしてください。

"PubMed" → "On"
Lazy ScholarでPubMed機能をオンにした時の例
PubMedの検索画面でジャーナルのCiteScoreが一覧できます

このアドオンの欠点は、読み込みに時間がかかることです。完了までに体感で10~20秒くらいかかります。もっとサクサクやりたい!って人は他のアドオンを組み合わせて使用すると良いです。

BibItNow!

https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/bibitnow/

引用文献をサクサクコピペすることに特化したアドオンです。スクリプトの知識があれば詳細なカスタマイズも可能です。

画面右上のアドオンアイコンをクリックすると引用文献がすぐに表示されます

アドオンのボタンを押して約5秒以内には引用文献をコピペできるので、サクサク進めたい人におすすめです。論文だけでなく、webページを引用情報として使う時(WHOの疫学データとか)にも使う事ができます。引用形式の選択肢がAPA, MLA, Bibtex, RIS, Endnote, 短縮系(Arnold S.) と限られているところが弱点です。カスタムで作成する事も可能なのですが、後述のようにスクリプトの知識が必要です。

シンプルな見た目と軽い動作にもかかわらず、表示やリンクの様々なカスタマイズが可能な事がこのアドオンのもうひとつの特徴です。引用形式をカスタムするのに加えて、例えば「この論文のタイトルでGoogle Scholar検索する」「ジャーナル名でインパクトファクターを検索する」などのリンクを自動生成することもできます。ただし、引用形式の方はJSON形式で書く必要があり、Javascriptの知識が必要です。CSLとの互換もないのでちょっと大変です。リンク生成は引用形式よりは簡単に記述する事が出来ますが、こちらも基本的なスクリプトの知識が必要です。このあたりは私が使いこなせてきたら改めて紹介しようと思います。

Unpaywall

https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/unpaywall/

無料で公開されているフルテキストを自動で検索してくれるアドオンです。こちらも軽さが売りで、常にオンにしていてもストレスに感じません。

Unpaywall 使用イメージ
画面の右端にちょこんと鍵マークが出現します。利用可能なら緑色、不可なら灰色。

ジャーナル公式のPDFが非公開でも、大学等で公開されているプレプリントを紹介してくれることもあり「目立たないけど、困ったときにありがたさを感じる」アドオンです。

英語文献の翻訳に便利なアドオン

Google Chromeだとブラウザの機能で翻訳してくれてとても便利なのですが、残念ながらFirefoxではアドオンで代替するしかありません。Chromeには及びませんが、Google翻訳機能を利用するのに便利なアドオンを紹介します。

Simple Translate

https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/simple-translate/

シンプルにGoogle翻訳を使ってくれるアドオンです。他のアドオンは右上や左下にGoogle翻訳の画面が出るのですが、このアドオンは「翻訳をポップアップしてくれる」のがとても便利です。どこを読んでいたのか分からなくなることがとても減りました。

Simple Translateの使用イメージ
ドラッグしてアイコンをクリックすると、同じ場所に訳語を表示してくれる

オプションで「翻訳が不要な時はアイコンを表示しない」ようにできるなど、シンプルながらカスタマイズ幅が広いのもポイントです。ページ全体の翻訳は右クリックメニューからできますが、Google翻訳サイトにリンクしているだけなのでChromeのように文節ごとの訳を細かく見る事は出来ません。

(おまけ) DeepL

https://www.deepl.com/translator

Firefoxアドオンではありませんが、とても精度の高い(と感じる)機械翻訳サービスです。今のところAPIが有料サービスなので、Firefoxアドオンは「webページの画面をポップアップする」という強引なものしかありません。Google翻訳で変な翻訳だなと思ったときにDeepLに放り込むと、労力を少なく読み進められると思います。

まとめ

  • 引用文献のコピペにはLazy Scholar, BibItNow!, Unpaywallがおすすめ!
  • 多機能なLazy Scholarと、サクサクのBibItNow!, Unpaywall。両方使い分けるのもおすすめ。
  • FirefoxでGoogle翻訳を使うならSimple Translateが使いやすい

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