抗体の検索比較に便利なサイトの個人的ランキング

(2019年3月19日追記・2019年5月22日修正)
Figを一覧表示できるBenchSciの登場が登場しました。CiteAbに並ぶ強力なツールです。
最強の抗体検索サイト”BenchSci”現わる。

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ウエスタンブロットやIHCに使う抗体、色々あって結局どれがいいのか分かんない!となることが結構多い。
もちろん口コミが基本かつ手堅いんだけど、自分のほしい抗原に関する情報を知り合いが持っていないときも稀によくある。出入りする業者に頼んだら「よく注文される抗体」を持ってきてくれるけど、本当にこれでいいのか?と思いながら買うのも嫌だし・・・。

ということで、時々目にする抗体比較サイトを勝手にレビューしてみました。

目次

大前提

以下は、抗体の基礎知識がある人向けの紹介になります。
そもそもEpitopeって何?HostとCross Reactivityの両方にMouseがあるんだけどどういう事?」って段階の人は、まず下のサイトとかで抗体の基礎知識を仕入れたあと、抗体探しに慣れている上司に話を聞いてから、抗体検索の沼、もとい旅に出ましょう。
基礎知識なしで抗体検索だけしていると、必ずハズレを引きます。注意してください。

ちなみに、下記のようなサイトは全く初心者向けではなく、ただの「検索サイトの使い方」なので、抗体の知識がなければ読むだけ時間の無駄だと思います。
教えて!アンティ先生! 抗体検索ガイド | フナコシ
抗体データベース「抗体百科」 商品検索手順

以下、おすすめ順に並べました。僕は普段1~3を使っています。

1. CiteAb

抗体を使用した論文の本数で順位付けしてくれている。
論文件数ってのが単純だけど凄く説得力のある基準で、実際にFigureを確認しに行くのも楽になるので使いやすい。
古い抗体ほど上位に入りやすく、必ずしも使用数が性能と相関するわけではない事に注意が必要だけど、特異性の低い抗体をつかまされる可能性を減らせるかも。
以前はGoogle Scholarとかで抗体のクローン名を検索していたけど、要らなくなってきたかもね。
抗体サプライヤーの表彰をやっていたりもするけど、意味があるのかは分かんない。

2. Biocompare

海外で恐らく最大手の抗体検索サイト。試薬とかも検索比較できる。
レスポンスが早く絞り込みがしやすいので、自分の求める条件の抗体を網羅的にリストアップしたいときに便利。
プロモーションされている企業が上位に表示されやすくなっているので、上の方が良い抗体とは限らない。
海外サイトなので、全てが国内で入手可能なわけではない事には注意が必要。
ReviewsやCitationsの項はあるものの、殆ど機能していない。他のサイトで補完する必要がある。

3. Antibodypedia

抗体のバリデーション状況を一覧表示してくれる。抗体のアプリケーション(WB, ELISAとか)が、ただサプライヤーから推奨されているだけなのか、データが添付されているか、をアイコン表示してくれる。
「サプライヤーはWB可って言ってるけどデータどこやねん!」って時間を無駄にすることが減るので、好きです。
リファレンスの有無も記載されているが、カバー率はあんまり高くなさそう。
“Antibodypedia Validation Initiative (AVI)”という評価基準みたいなのを提唱しているが、データ集積が進んでいないので役には立たない。
また、gene基準の検索なので、Hisタグなど人工蛋白はどう検索したらよいものかわからない。
抗体の評価基準は、これはこれで参考になるかも。
Antibodypedia – Validation Criteria

4. 抗体百科(コスモバイオ)

数少ない日本語表記のサイト。
参考文献や特集記事がある場合はボタンが出て参照できるので、流行りのトピックスだと探しやすい。
モノクローナル/ポリクローナルで絞れないのと、用途(WB, IHC, ELISA, etc…)の複数選択はできないのが、微妙に使いにくい。
あと、希望販売価格が載っている。検索でヒットしたら、コスモバイオで取り寄せられる事が分かる。地味に大事かも。
サーバーのレスポンスが遅いので、サクサク検索というわけにはあまりいかない。

5. pAbmAbs

多分、「ぱぶまぶす」と読む。語感が良いね。
他のサイトと異なり、サプライヤーのデータはほぼ掲載していない。
実際のユーザー(多分)のレビューを載せている。必ずしもデータが添付されている訳ではなく、凄くアクティブでもないが、今でも投稿が続いているので、検討している抗体の評判が載っていたら参考にしてもいいかも。

6. SeekQuence

CiteAbと同じように使用論文の本数でソートしてくれる。
このサイト独自の機能として、引用している論文をジャーナル名でまとめてくれるので、ビッグジャーナルでよく使われている抗体が欲しい!って人はここを使ってみるのもいいかも。
論文のキャッチ件数はCiteAbの方が上だし、CiteAbでもどのジャーナルの論文かは分かる。
DBCLSの統合TVで紹介されたこともあるらしい。

7.フナコシ抗体検索

コスモバイオと違ってモノクローナル/ポリクローナルで絞れるけど、やっぱり用途は単一選択。
日本のサイトは希望販売価格や精製方法を検索項目に載せるのが多いのが特徴的。
クローンで検索できる機能は、このサイト以外ではあまりないかも。
海外のサイトで抗体の候補を絞って、コスモバイオやフナコシで取扱の有無や価格を確かめる感じで使っている。

8. 1DegreeBio

普通に抗体を検索できるって感じ。
インターフェースがスマートなことと、スポンサーがあまりついてないこと以外はbiocompareを超える点見つからず。

9. バイオインパクト

「抗体 検索」でググったら上位に出てくる。
比較的新しい検索サイトっぽいけど、コスモバイオやフナコシに勝る点はあまりない。
Google Scholar検索ボタンが付いてるけど、クエリの問題なのか、抗体以外の情報が大量に引っかかるので役に立たない。
このサイトも希望販売価格が載っていて、ソートできる。なるべく安い抗体を探すときには便利かも知れないけど、結局ディスカウント次第かも。

番外

サプライヤー別の評価とか

B社は良い抗体が多いとか、S社のポリクロはやばかったとか、噂や実感はあるけど、あんまり一貫してるわけじゃないし、結局個々の抗体次第って印象。ただ、抗体のサポートが手厚い所ほど信頼しやすいよね。

抗体比較サイトではないけども、abcamの抗体ページでは結構マメにトラブルシューティングを受けているし、レビュー投稿数も多いような印象。
例:

自分の求めている抗体ではなくても、共通する抗原に対する抗体があったら、Q&Aをちらっと見ておくのもいいかも。

他のサイトに関してはあまり探索していないのでよく知りません。
abcamの回し者ではないので、他の良さげなサプライヤーの情報を知ったら追記します。

安い抗体探すなら

モノクローナル抗体の場合、同じクローンの抗体が複数のサプライヤから販売されている事があります。同じクローン・同じ精製法でも値段や量が違うことがあるので、欲しいクローンが決まったら抗体百科やBiocompareで検索しておくと幸せになれるかも。

また、NIHの資金援助で運営されてるところなら、うまく使えば良い抗体を安く(数千円~)手に入ることも。
ただし、クローンによって良し悪しはかなりあるので、安いからと情報収集を怠らないようにご注意を。

Disclaimer

COIなし

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